鹿野道彦 今日の主張

 ◎老人保険施設訪問

7月下旬、山形市にある2箇所の老人保険施設を訪問した。

介護施設の現場をゆっくり目の当たりにし関係者からも直接お話を伺い大変参考になった。

その日はちょうど入居者が車イスのままグループで輪になり機能訓練に励んでいた。

『グループでやると機能回復に効果があるんですよ。相手がいるからライバル意識が芽生えますし、ゲーム感覚を取り入れてのリハビリなので楽しみながら体を動かし意欲的になるんです。在宅の場合は1人なのでプログラムを立てても思うようにはいかない場合が多いようです。また「在宅で介護してください」と言っても、実際に面倒を見る人が少ないですし、家族も生活するために仕事を辞めるわけにはいかないというのが現状です。』との関係者の話に老険施設の効用を改めて感じ取ることが出来た。

今、国会で医療制度改革関連法案が成立し、長期入院している療養病床38万を60%削減することが決まった。そして老人保険施設・有料老人ホーム・在宅介護へと転換を図ることとなったのである。しかし、現実に受け入れる体制の整備は確立されているのかとなれば確証もなく、それでは患者や患者の家族も不安を募らせるばかりである。ましてや昨年9月から介護料が上がり、1ヶ月間の介護料は改正前の平均4万2千円から改正後の平均は7万9千円になったのである。ちなみに個室は7万円から改正後は11万5千円になり、年間にすると30万円から40万円の負担増である。これは要介護者を抱える家族にとっては誠に厳しい現状である。

政府の考えは財政が容易にならざる事態であるから負担増も止むを得ないとし、できるだけ施設から在宅に転換を図るということなのだ。しかし実際に施設を訪問してみて、政府と現場の認識にかなりの乖離があることを実感した。

もともと現在の介護保険制度は、在宅ではあまりにも女性への負担が重くのしかかる上に、面倒が見れることが可能な家族が少ないことから、諸々の議論の末に互助精神ということでスタートし、この制度の導入によって高齢者の安心は約束されていたはずであったのだ。それが介護料の負担額増、それに在宅で介護を引き受けてくれということでは不安が募るどころか、家族の絆に亀裂を生じさせかねない。

政府の対費用効果だけを考え「コスト!コスト!」と効率性を追い求める新自由主義的な福祉対策では、これからの安心で安全な社会を築くことは出来ない。そして、このままでは施設の職員も過重労働になり人材が集まらなくなる可能性も危惧される。ここは小泉自民党政権の社会保障のあり方を根本的に考えてみる必要があるのではないだろうか。


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