鹿野道彦 今日の主張

 ◎ギョーザ事件と自給率

中国製冷凍ギョーザによる中毒事件は、国民の食生活に大きな衝撃を与えている。
未だギョーザに殺虫剤がなぜ混入したのかわからない段階だが、日中協同調査による真相究明と、自衛策として検査体制の強化が急がれることを望みたい。
同時にこの度の事件を契機に、国民の命の源でもある食料をこのまま他国に大きく委ねていいのかということを、根本から考えてみる必要があるのではないだろうか。
それは、現在わが国の食料自給率は39%である。先進国では極めて低い水準だ。
とりわけこの15年間で10%も下がり、食料自給率低下に何ら歯止めをかけられず推移している。
数年前にBSE問題や鳥インフルエンザが発生したに時、国民の間に食料自給率向上を図るべしの声が大きく盛り上ったが、結局のところ政府の無策が自給率40%を割ることになってしまったのだ。
一方わが国の農業現場の実情はどうかと言えば、政府の政策に沿って規模拡大した農家ほど、原油の高騰とコメ価格の下落で苦しんでいるのが現状である。
加えて食料の国際市場は極めて厳しくなり、激しい食料の争奪戦が繰り広げられている。例をあげれば、わが国の小麦の20%の輸入先であるオーストラリアは、大旱ばつで小麦の売り渡し価格は11.4%も上昇している。アメリカからのとうもろこしは、バイオエタノールの利用で価格が上り、アメリカの農家は日本向けの遺伝子の組み替えないとうもろこしや大豆を作りたがらなくなっている。ゆえに、とうもろこしと大豆の輸入予定量を確保できない状況だと言う。
更に人口14億人の中国をはじめ、新興国の食料の消費が急激に伸びている。そして中国は諸々の開発で農地が減ったことも原因して、純食料輸入国になってしまったのだ。
言うまでもなく食料は工業製品と違い、明日から急に増やすことは出来ない。
もはや他の国にわが国の食料供給を依存すればいいという国際分業論的発想では、将来へ向けて日本の食料安全保障体制を確立することは出来ないことが明白になったのである。
ならばどうするか。
それは農業者があらたな意欲を持ち、農産物の生産に勤しんでもらう為に、先進国と同様に農業者への所得補償政策を導入することである。
今わが国の460万ヘクタールの耕地面積のうち、なんと40万ヘクタール(埼玉県の面積)が耕作放棄地である。
自然環境保全、食料自給率向上、そして食の安全の為にも農業者に頑張ってもらわなければならないのだ。
今こそ政治の決断が求められているのではないかと考える。

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