鹿野道彦 今日の主張

 ◎J.Kガルブレイス氏逝く


  今月初旬、世界的著名な経済学者J.Kガルブレイスが93才で亡くなった。誠に残念なことである。
経済学者でありながら、狭い専門の世界に閉じこもらず政治や労働界にも目を向け続けた高い見識は、アメリカのみならず所謂成熟した国々の政治家に大きな影響を及ぼしてきた。日経新聞「私の履歴書」欄からガルブレイス教授の考えを一部引用すると『経済改革を巡る米国の政治の対立は、基本的に企業の利益を擁護するか、それとも国民全体の利益を守るか、である。レーガン、ブッシュと共和党政権が続いた1980年代から90年はじめにかけて行われたのは、企業の利益を優先する政治であった。そこでは公共的な問題でも企業の利益が尊重されてきた。典型例が環境政策だ。企業利益が環境保全より優先した。マクロ経済政策では企業の利益に配慮して減税が行われてきた。恩恵を受けるのは富裕層である。こうした政策こそが、経済全体を浮揚させるのに役立つという考え方に基づいている。これはブッシュ現政権でも同様である。しかし私の考えはこれとは全く異なる。所得配分が公平になり、需要の流れが安定的であればあるほど、経済は良くなると信じている。ゆとりの小さい中間層や貧困層は受け取った所得を確実に使う。そこに選択の余地はない。一方、富裕層はお金を消費に使うか貯蓄して資産を増やすかという選択肢がある。貯蓄に回る分だけ全体の需要は制約されることになる。恵まれない層に配慮した政策の方が富裕層配慮よりも経済的プラスだ。クリントン大統領は教育や医療に目を配り、平和と繁栄をもたらした。』という内容である。

  わが国において格差社会が大きな問題になっている現在、小泉自民党政治の新自由主義的発想、すなわち恵まれる層がより恵まれることによって、恵まれない層を引っ張っていくという考え方で、果たして公正な国づくりができるのだろうか?ということを真剣に検証してみる必要があるのではないか。

  20世紀を代表する賢人が、迷走するわが国に遺言を残したような気がしてならない。

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