鹿野道彦 今日の主張

 ◎対北朝鮮決議を採択

 16日国連安全保障理事会は、北朝鮮のミサイル発射は「地域とその周辺の平和、安定、安全を危うくする」と確認し、北朝鮮ミサイル発射を非難する決議を全会一致で採択した。

日本が当初から追求した経済的、軍事的制裁発動の可能性を含む、国連憲章7章は削除された。すなわち、制裁決議から非難決議になったということであり、折衷案的決着は落としどころに落ちついた感がある。

このことは、国連安保理事会が全会一致で北朝鮮にミサイル開発の放棄を迫ることをはっきりと意思表示したことであり、また中国を拒否権行使に至らせなかったことからして、日本外交としてひとつの成果であると考える。

ただわが国として考えなければならないことは、交渉過程で日米と中露の立場の違いが露呈したことは事実であるが、イランの核開発、イスラエルとパレスチナ、レバノンの対立などの中東問題を抱えているアメリカは、日本が期待したほど積極的に動かなかったようだとも言われていることだ。

水面下では、アメリカは中国との交渉で国連憲章7章は含まれなくてもよいとの判断に立ち、英仏の折衷案に乗ったのである。

要は、日本としては最初から想定しておった内容(決議文)の決着だとはいえ、こうした動きはアメリカは同盟国であっても常に日本の言うことを聞き入れてくれるということではないということであり、中国はアメリカに朝鮮半島問題で主導権を握らせたくない意識を持っているということでもあり、それぞれの国は各々の国益を優先するということである。

現実の国際社会は、決して甘くないことをきちんと認識しておかなければならない。

ましてや北朝鮮は、採択された決議を直ちに全面的に拒否し、今後もミサイル発射の継続を明言していることからして、北朝鮮のミサイル発射の脅威は消えたわけではないのである。

むしろ、追い込まれたことにより、北朝鮮はより強硬な手段をとることも予測しておかなければならない。

わが国の安全と朝鮮半島の平和と安定は、今後の日本外交力に懸かっていると言っても過言ではない。

これからのわが国の外交の展開を考えた時、アメリカとの連携は当然前提となるが、朝鮮半島の平和と安定はアジア地域全体の問題でもある。

それなら、日本が経済援助をしているアジアの国々に強く働きかけ、わが国の主張に対する同調なりサポートを呼びかけていく必要があるのではないかと考える。

今回の決議案採択までの過程に於いても、日本が援助している国々から日本を支持する声が小さかったような気がしてならない。

もうひとつは、できるだけ早く日本と中国の首脳同士の政治的話し合いが行われる環境を築くことである。

アジアを代表する二大両国のトップ会談がしばらく途絶えていることは、両国の国益にとってもアジアの強いては世界の平和と安定の為のも好ましいことではない。

外交こそが政治に課せられた最も重要な責務であることを、わが国の政府も政治家もしっかりと肝に銘じなければならない時だと考える。


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