鹿野道彦 今日の主張

 ◎成長戦略 対 生活維新

現 安部政権の格差対策とも言える、成長力底上げ戦略の構想が明らかになった。
結果平等の格差是正とは異なり、低所得層への公的扶助でなく、自立支援策であることを強調している。既存の対策と重なる部分が多く、これで格差是正するとはとても思えない。根底にあるグローバル化により、企業の競争力を確保することが大事で、労働者の待遇は低くとも止むを得ないという考え方から一歩も出てないようだ。当初から取り組む予定をしていた「ワーキングプア」対策(働く貧困層)も削られている。
そして今国会で提案しようとしているパート法改正案でも、政府案は1200万人の短時間労働者のうち、対象者は50万~60万人にとどまる。ちなみに民主党案は、全パート労働者を対象に差別を禁ずる案である。
結局のところ政府案では格差を是正するといっても、格差は縮小することにはならないのではないだろうか。社会のありよう(有り様)を変えない限り、格差社会の根本的解消にはつながらないのだ。
今アメリカでは、労働者全体の地位が下がっているといわれている。典型的な例として「ウォルマート現象」という言葉にあらわれている。ウォルマートは、医療保険にも入っていない(入れない)人々を雇っている。言うまでもなく人件費削減のためだ。
ワーキングプアの人々を雇うことによってその地域の生活にも波及し、その他の労働者の労働条件を下げることにもなってしまった。そしてこのことは、地域に住む高齢者や障害者の福祉をも削らなければならないことになってしまっているという。このアメリカの大企業の論理を、日本の経団連も収益改善のためにということで歓迎し、政府も荷担しているのである。
だから大企業の成長戦略の論理を軸に社会が動いていけば、格差は広がる方向に行くだけである。
今、何が大事か。大企業の収益改善で大きくなった果実を、出来るだけ多くの国民で分かち合うことでないだろうか。経団連会長はこれだけ儲けても「まだまだ」と発言しているようだが、果実は役員・株主だけでなく働く人々とも分け合うことである。
そうすれば国民生活の消費にも結びつき、わが国全体の活力を生み出すことにもなる。これが生活維新である。
以前は、世界の自由経済の国々に、トリクルダウン経済学(おこぼれ経済学)の発想があった。成長で果実が大きくなれば、自然に下にしたたり落ちてくるということである。それは経営者側と労働者が分けあうという考え方が、それぞれの国の社会に、システムとしてうめこまれておったのだ。
それが新自由主義思想の導入で、すべて自由化・民営化・規制緩和ということで正規社員を減らし非正規社員を増やす等、会社側と交渉もできないような状況をもつくってしまい、安定したシステムを壊してしまったのだ。
今こうした現実の中で、国際社会に於いてわけ合うシステムを復活させる動きがもうすでに出始めている。
ヨーロッパであり、南米ででもある。その動きは、アメリカにでもさえ昨年の中間選挙の民主党の勝利となってあらわれている。この新しい流れがつくられようとしているのは、あまりにも偏った経済も含めての社会システムの有り方の反省からである。安倍政権の成長戦略は、もう古いのである。
大きくなれば果実はしたたり落ちてくると言っても、回路を壊してしまったからしたたり落ちてこないのである。新しい回路をつくることだ。
グローバル化の中で、新しいわかち合う社会的契約をつくり出す時である。
まさに生活維新だ。


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