鹿野道彦 今日の主張

 ◎証券優遇税制

毎日新聞は10月9日付けで、証券優遇税制を取り上げていた。
年末の税制改正の焦点が、証券優遇税制の存廃の問題だという。
証券優遇税制は上場株式や株式投資信託などの配当所得、譲渡所得(売却益)にかかる税率が、20%から10%にする制度である。
2003年に株式市場の活性化策として導入された。株式市場が低迷していたからである。もちろん当初は5年間の暫定措置であった。
しかしながら自民党税制調査会は期限切れの昨年、この制度を一年延長したのである。
ちなみに政府税制調査会は、昨年優遇廃止の方針を明確にしている。
報道によると自民党の津島税調会長は「良好な証券市場を維持することはすべての国民の幸せにつながる」と優遇税制の更なる延長を示唆している。
一方民主党の藤井税調会長は「10%にしたのは株価が低かった時の話であるから税率を戻すべきである(20%に)」と優遇税制廃止を明言している。
今日我が国の最も重要な政治課題は財政再建であり、格差社会の是正である。
株式の配当だけで税率が20%に戻れば、1,300億円程度の税収増となるという。
株式の譲渡所得(売却益)は、個人分だけでおよそ2兆6千億円といわれている。
税率20%なら2,600億円の増収が見込まれる。財政再建に繋がるということではないだろうか。
ましてや大企業の収益改善による株主配当は、昨年に較べて36%増と報道されていた。個人分の株式の譲渡所得は、90%を富裕層が占めているのだ。
すなわち証券優遇税制は、まさに金持ち優遇策そのものである。
今国会で民主党が提出をする障害者自立支援法の自己負担10%増を凍結する議員立法が成立すれば、200億円の財源が必要とされる。
薬害によるB型C型肝炎者の国の救済策にも、200億円程度の財源が求められる。
現政府は生活保護者の高齢加算、母子加算を廃止しようとしているが、この制度を維持するには財源は220億円だという。
だとするなら、優遇税制廃止によって財源を捻出することにより、現在生活に困っている人々にひかりを与えることが出来るのではないだろうか。
このことこそ、すべての国民の幸せに繋がるということになると考える。
自民党は優遇税制を廃止することによって、株式市場は投資家心理に影響し株価が下落するとの懸念を主張するが、金持ち優遇策で、株式市場のテコ入れをしなければならないようでは健全な株式市場とは言えないのではないか。
参考に諸外国では、一部の国を除いて30%程度の税率である。
この証券税制の論議に、自民党と民主党の基本的な政策と考え方を垣間見ることが出来る。
結局のところ恵まれた人たちの味方の自民党と、国民の生活が第一と標榜する民主党の違いがはっきりしてくるのだ。

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